圖書館の本に落書きをする行爲は犯罪です(刑法二六一條)。絶對に眞似しないでください。

某大學圖書館落書き傑作撰

圖書館の本の落書きは面白い。落書きを見れば、落書きをした人のお里が知れる。落書きをする人は大抵愚かで、しかも自分では自分が賢いと思ひこんでゐる。彼らは自信滿々に、珍妙な情報を書きこんでゆく。

本稿の目的は圖書館の本に書かれた落書きを嗤ふことで新たな落書きを防止することである。

ソフィール

落書き對象
佐伯梅友『國語概説』秀英出版、一九五九(請求記號: //810.1//Sa14//1)七ページ
落書き内容
「ソフィール」
コメント
誰だソフィールつて。おそらく「ソシュール」(Ferdinand de Saussure)と書きたかつたのだらう。

落書き對象
佐伯梅友『國語概説』秀英出版、一九五九(請求記號: //810.1//Sa14//1)三〇ページ
落書き内容
「分の終りまたは切れ目の高さの調子で」(以下略)
コメント
「ソフィール」の人と筆跡もインクの色も一致。おそらく「文」と書きたかつたのだらう。

「」

落書き對象
西尾實校注『方丈記 徒然草(日本古典文學大系30)』岩波書店、一九五七(請求記號: //918//8//(30)Y)一一八ページ
落書き内容
括弧が訂正されてゐる。
コメント
訂正された後の括弧の状態で讀むと意味不明になる。何を思つて訂正したんだらう。

これで良い

落書き對象
橋本進吉『古代國語の音韻に就いて』明世堂書店、一九四二(請求記號: //810.23//1)七五ページ
落書き内容
本文の「一つふえて」に二重取消しを引き、それを四角で圍んで「これで良い」。
コメント
ぢやあなぜ消したし。

なく

落書き對象
橋本進吉『古代國語の音韻に就いて』明世堂書店、一九四二(請求記號: //810.23//1)一二九ページ
落書き内容
本文の「少く」の下に「なく」。
コメント
「少くない」を「スクナイ」と讀んで「なく」を書き加へてしまつたらしい。行き過ぎた國語政策の弊害がこんなところにまで。

參考サイト

刑法
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。(第261条)
「本が泣いている……」図書館の書籍を切り抜き書き込むマナー違反な人が増えている
相変わらず続く図書館蔵書の切り抜きや落書き、「いけないんですか」と罪の意識もない意見も
「モノを大切にする」「借りたものは大切に扱う」「人のものをとらない、壊さない」など、それこそ小学校一年生の道徳の教科書にも載っていそうな事柄すらまともに出来ない人が(絶対数からすればまだ少ないとはいえ)増えてきている状況と、何よりも本当に「泣いている」本たちを見るにつけ、悲しみを覚えずにはいられない。
バーチャルネット古本オタク櫻花23.4歳
蜜子さん
図書館の本に線が引かれてたの。
櫻花さん
いやね。
蜜子さん
何で本に線を引くのかしら。
櫻花さん
……重要だと思ったから、じゃない?
蜜子さん
納得行かないのよね。
櫻花さん
蜜子さん
だって、ほんとに重要なら、何でその本、図書館に返しちゃう訳?